・空前のSFブーム!!
70年代、特に後半から80年代前半にかけて、SFは空前のブームをを迎えていました。
この時期「週刊少年ジャンプ」では、諸星大二郎先生、星野之宣先生がSF作品を描き、
少女漫画の世界でも、萩尾もと先生の「11人いる!」を初め、SFの秀作が次々と発表されていました。
一方、活字の世界でも、70年に早川SF文庫が刊行。雑誌は「奇想天外」(73年)、ビジュアル雑誌では「スターログ」「SFファンタジア」「宇宙船」などが創刊。
そして映画では「宇宙戦艦ヤマト」(77年)「スターウォーズ」「未知との遭遇」(78年)のヒットなどにより、一般にもSFが広く認知されるようになりました。筒井康隆氏が、SF大会にてSFの「浸透と拡散」を嘆いたのも、この頃です。
・マンガ少年
手塚治虫先生が「COM」休刊後「火の鳥」(67ー71年)を連載するべく、76年より朝日ソノラマから創刊されたのが「マンガ少年」です。
おそらくですが、70年代初頭、<かつての巨匠>という評価をを受けていた手塚先生が「ブラックジャック」(73年)で返り咲いたため、本誌の企画が実現可能となったと思われます。
連載作品は、手塚先生の「火の鳥 望郷編」をはじめ、石ノ森章太郎先生の「サイボーグ009」や竹宮惠子先生「地球へ・・・」みなもと太郎先生の「マンガ評論」他、松本零士、ジョージ秋山、藤子不二雄、石川賢、吾妻ひでお、ますむらひろしなどの先生方が執筆。豪華作家人が、SFブームの最中SFを中心に描いた雑誌でした。
・マンガ奇想天外
78年奇想天外社から刊行されたのが「別冊奇想天外 SF
マンガ大全集」です。メンバーは、手塚治虫、松本零士、石ノ森章太郎、藤子F不二雄、永井豪、諸星大二郎、竹宮恵子などの先生方で、これまた豪華な雑誌。自らはっきりとSFを名乗った最初期の雑誌です。
それが好評だったのか、すぐさま第2号が刊行。手塚、松本、石ノ森、諸星の他、モンキーパンチ、坂口尚、山田ミネコといった先生方に加え、大友克洋先生の「宇宙パトロール」吾妻ひでお先生の「不条理日記」が収録されるなど、当時の日本の本気みたいな雑誌です。
80年代に入ると、同誌は「マンガ奇想天外」と誌名を改め、季刊誌といして新創刊。吾妻先生、大友先生に加え、高野文子、紫門ふみ、さべあのま、いしかわじゅん、川崎ゆきおなどの先生方が執筆しています。70年代後半から、80年代の前半にかけてのSFとニューウェーブの総本山的雑誌となりました。
・少年少女SFマンガ競作大全集
79年には 東京三世社より「少年少女SFマンガ競作大全集」季刊誌が出ています。少年少女両性を併記した極めて珍しい雑誌です。読者の性別を限定しない作りは、ニューウェーブらしい特性でした。
創刊号の執筆陣は、手塚、石ノ森、永井、武宮、諸星、吾妻といった面々に、岡田史子、水野英子、飛鳥幸子などの先生方が執筆。女性作家の作品を積極的に掲載しました。
「マンガ奇想天外」と同誌は似ていますが、共食いということはなく、相乗効果でSF・ニューウェーブムーブメントを盛り上げたアンソロジー・季刊誌でした。
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