こんにちは ネカフェ難民のシンイチです。突然ですが、みなさんは新人登竜門まんが誌についてご存知でしょうか?新人登竜門まんが誌は主に、大手出版社の有名まんが誌の名を冠した、たまに出る雑誌で、「新人賞」入選作品や、編集部が育ててる作家の読み切り作品が掲載されます。今回は、各出版社の漫画雑誌における新人の作品発表の場でもあった、大手まんが誌の新人登竜門まんが誌について見ていきたいと思います。
・フレッシュジャンプ
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「新鮮(フレッシュ)な作家による、新鮮な少年漫画、新鮮な雑誌作り」をコンセプトに、「フレッシュジャンプ」は、新人作家の登竜門として、82年集英社から刊行されました。
原哲夫先生の「マッドファイター」をはじめ、荒木飛呂彦(当時荒木利之名義)、徳弘正也、まつもと泉、桂正和、えんどコイチなどの先生方を排出した他、「週刊少年ジャンプ」連載作家も読切を掲載。鳥山先生の「へたっぴ漫画研究所」や、「ドラゴンボール」の元となった「騎竜少年(ドラゴンボーイ)」も、同誌で始まりました。
同誌は、当時「週刊少年ジャンプ」の編集長を務めていた西村編集長が、兼業で編集長を務め、後藤広喜氏と中野和雄氏の2名が副編集長を務めていました。当時、同期入社の副編集長2名は、激しい対立関係にありました。
86年、中野氏が「フレッシュジャンプ」編集長に、後藤氏が「週刊少年ジャンプ」編集長に就任。その後、2名の対立はさらに激化し、新人を送り出す使命を追った「フレッシュジャンプ」は、「週刊少年ジャンプ」でゆでたまご先生が「キン肉マン」を連載中にもかかわらず「闘将!!拉麵男」の連載を開始し、独立の路線を走ってしまいます。結果的にジャンプは「フレッシュ」とは別の新人育成の増刊を増やさざるをお得なくなったのです。
こうした事態を経て90年、当時部長となった西村氏の命により、定期刊行物として20万部の売り上げを誇った月刊誌「フレッシュジャンプ」は、打ち切られることとなったのです。
・スピリッツ 増刊号野望編
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92年、小学館から出た「ビックコミックスピリッツ増刊号野望編」は「スピリッツ」増刊の新人登竜門まんが誌です。
巻頭には、江口ひさし先生、巻末には、カップヌードルのCMなどでお馴染みの窪之内英策先生の野望時代の作品が掲載されています。野望時代とは、漫画界の制覇に燃える新人時代のことだそう。
本誌は、春秋募集の新人賞「野望大賞」からセレクトされた作品が掲載。大賞作家には秋重学、古林仁史、若狭たけしなど後の「スピリッツ」で活躍する先生もいらっしゃいました。
「野望大賞」は、もう一つのスピリッツをキャッチフレーズに、93年に創刊された「スピリッツ21」へと移ったようですが、「増刊野望編」は95年、「21」は21世紀を待たずに休刊となり「スピリッツ」の<野望>は潰えることとなりました。
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・ヤングサンデー増刊新人王
「ヤングサンデー増刊新人王」は「スピリッツ野望編」と
同年、同じく小学館から出ています。「野望編」でもなし得なかった、オール新人オール読み切りコミック誌となります。
「新人王」の弟分として「大漫王」があり、こっちは作家・作品の特集号的な作りで、「別冊ヤングサンデー」へとリニューアルされました。
・ヤングマガジン 増刊赤BUTA
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「ヤングマガジン海賊版増刊」の休刊に伴い、95年新増刊として講談社から隔月刊として刊行したのが「ヤングマガジン 増刊赤BUTA」です。
「監獄学園」の平本アキラ先生がこの雑誌からデビューしています。
その他、士郎政宗先生が、表紙を描いたり、大友克洋先生が、マスコットキャラの赤豚をデザインしてたりと豪華な雑誌です。
・ヤングマガジン 増刊青BUTA
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98年「名前は違うが連載同じ 世界初のツインコミック誌」として「ヤングマガジン 増刊青BUTA」が、同社から刊行されます。しかもこの雑誌、同じく隔月刊誌で「赤BUTA」が巻発売されない月に刊行される、つまり月毎交互に「赤BUTA」と「青BUTA」が刊行する変わり種雑誌になっているのです。
連載同じなら、月刊にすればいい気がしなくもないですが、どちらか片方でしか描かない作家もいるなど、個人的にはギミックとして面白い雑誌だと思います。
しかし、大変紛らわしい雑誌であることも事実で、間違って購入したという方もいらっしゃるかもしれません。一応、ぱっと見の違いは、青の表紙がスポーツ選手などのグラビア、赤が、なんか強そうな女性キャラクターのイラストであることが多いという点。この混乱のツケは大きかったのか、99年、両雑誌とも休刊になってしまいました。
・新人登竜門誌の現在
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「フレッシュジャンプ」の精神は「赤マルジャンプ」「ジャンプネクスト!」「ジャンプネクスト!!」そして現在の「ジャンプGIGA」へと受け継がれています。この手の雑誌の特徴として「増刊」とか「GIGA」とか小さく書いてあるので、本誌と間違えて購入しないよう注意が必要です。表紙にも、非常に気合いが入っている場合が多く、そうした面で購買意欲をそそってくるのも、奴ら作戦です。
かくいう私も、初めて自分の金で買ったジャンプが、間違って購入した「ジャンプネクスト!」であり、なんかちょっと聞いてたよりも高いなぁと思いながらお金を払って、後から気づいた思い出があります。
まぁ、読切時代の「食戟のソーマ」と、虫が出てこない「ムシブギョー」みたいなエロ漫画があって、大変重宝したので良しとしました。
また、あの「ジャンプGIGA」創刊時のごちゃごちゃ感といい「フレッシュジャンプ」といい「赤豚青豚」といい、この手の雑誌は本誌との兼ね合いもあり出版社側で、色々とトラブルが起こりやすいのかもしれません。
現在の新人登竜門まんが誌はジャンプ以外は、ちょっとよくわからないので、詳しい方は動画の背景が宇宙になってるところでコメントしていただけたら嬉しいです。
それでは、ご拝読ありがとうございました。
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